モジュールアップデーター「Qloc Engine」のパッチ適用の仕組みは、学校インターネットサーバ「Elic’s」設計時、既にその原型が構想されていました。
小・中・高等学校でのインターネットサーバ運用はインターネットの専門知識に乏しい教員が運用すること、また、教員には転勤があるので操作を覚えた教員も専門知識を持つ教員であっても運用担当であり続けることは困難なのです。ましてや学校毎の独自仕様や担当教員が行った設定では引継ぎが更に困難になり、結果セキュリティアップデート(セキュリティパッチを適用しない)非常に危険なサーバがインターネットにさらされることになります。
そのような状況を回避するには専門知識を持ったサーバ提供者がユーザの利用環境で安全に使い続けられる製品とサービスを提供することが必要であると考え、必要機能を装備しかつ、コンピュータに不慣れな教員や女性職員も楽しく操作出来るユーザインターフェイスを持つアプライアンスサーバを提供することにしました。
また、学校は日本全国各地に点在しており、オンサイト可否等地域格差が生じてはならないこと、ベースOSとしたLinuxのバージョンとハードウェアが時系列と共に複数サポートする必要が生じるであろうこと、保守を含め維持費が低価格に抑えられることを考慮し、機能的なカスタマイズを行わない汎用的なシステムで、インターネットを介したリモートメンテナンスサポートの提供とアプライアンスサーバにパッチの自動適用機能を組込みました。
このパッチ自動適用機能には、同じロッドで出荷したサーバ機でも運用状況やタイミングでサーバ稼動ソフトウェアの状態はそれぞれ異なったものとなることやユーザが独自に変更を加える可能性などを考慮し、パッチ適用の必要性判定はユーザ先のサーバで行うこと、複数校からの同時パッチ適用機能起動でセンター側の負荷集中が回避出来ること、アプライアンスのベースOSが異なってもセンター側ユーザ側双方の運用負荷・処理負荷が大きくならないことなど条件をクリアする機能を備えたのです。
誕生した製品は学校インターネットサーバソフト「Elic’s」エリックスで利用ランセンス(使用許諾)の中に自動アップデート(セキュリティパッチと不具合修正や改良機能を自動的に取り込む)、リモートメンテナンスを含めました。コンセプトと品質が認められ、すぐに市町村の入札案件に製品名が記載され導入校は3年で300校を超えることになりました。
センター側である弊社の具体的な保守作業は、ベースOSであるRedHat Linux7.2、7.3、9、RHEL2.1ESの4つのOSでリリースされるパッチをElic’sが稼動するテスト機に適用して動作確認し、問題がないパッチをOS毎に設けた格納場所にFTPでアップして置く事と学校からの要望でのリモートメンテナンスの実施。全国300校を超える導入校のサポートを実質2名の要員で対応出来ました。
そしてこのパッチ適用の仕組みが新日鉄ソリューションズに紹介されD氏、O氏にパッチ適用部分の切り出しのアイデアを頂いて、モジュールアップデーター「Qloc
Engine」が誕生することに至ったのです。
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